オンカジというギャンブルには様々な問題が付随しているが、それでも現在でもなお多くのギャンブラーからの関心を集めつづけており需要がある状況が続いている。
このすべての問題を超えて人をオンカジに惹きつけているのは、「オンカジの配当倍率が高い」という高倍率への期待があるためである。
配当倍率が高いという事実が「オンカジでもし勝てたなら勝利金が莫大なものになる」という一攫千金の見果てぬ夢を見るための基盤となることは、俺も認めている。
実際、一部の限られた人間の成功譚でしかないし、その真偽も眉唾ものではあるものの「オンカジで勝利をして1000万円以上の利益を得た」というような体験談が寄せられることもあるのが、オンカジというものである。
俺個人としては、本当に1000万円の勝利金を得た人間がいたのかどうかということは、正直どうでもいいことだ。
なぜなら、誰が1000万円をゲットしていようとも、それは自分の1000万円ではないのだから、もとより自分とは無関係な話であるのだし、そういった天文学的な数値に幻惑されて「羨望」を抱いてしまい、オンカジにズブズブにハマっていくのは感心できる態度とはいえないからだ。
「1000万円の勝利」というような体験談を通して俺が関心を持っているのは「税金どうすんのかな?」ということだけである。
そして、不思議と、そういったオンカジの勝利体験談からは、何か不都合なことでもあるのか、税金に関する話題がスッポリと抜けているという傾向が強い。
そこで今回は、捕らぬ狸の皮算用ではないが、仮にオンカジで1000万の勝利があった場合の税金のシミュレーションをしてみようかと考えている。
1000万円の勝利金はひとまず出金をしなければ所得税が発生しない
もしオンカジで1000万円の勝利金を獲得した場合に、最初におさえておきたい税金対策のポイントとしては「出金をしなければ所得税は発生しない」ということである。
オンカジでの勝利金を出金する場合、その利益が年間で合計50万円以上になる場合、その勝利金は「一時所得」ということになり、確定申告に報告する義務が生じる。
しかし、勝利金を一切出金せず「勝ったままの状態で勝利金をプール」しておく限りは、年間50万円の利益どころか、まだ1円も受け取れていない状態であるため、それはいつまでも一時所得になることがない。
オンカジの勝利金というのは競馬などの配当金と違って「その場で即座に出金する」というものではないため、1000万以上の勝利金をどのようにして引き出すかについて、ある程度の自由な選択権があるのだ。
オンカジの利益が一時所得になるラインが「年間50万円まで」であることを考慮するならば、年間に49万円ずつ出金していけば、20年の時間をかけて税金を支払わずに勝利金を引き出していくことができる。
これは、いわば「贈与税のラインを考慮した数年単位の生前贈与」と同じやり方である。
時間はかかるし年間に得られる金額こそは制限されるものの、まず税金を支払わなくて済むし「オンカジからの勝利金」という違法の収益であることが税務署にバレるリスクも回避できるため、オススメの方法といえる。
この方法の弱点は「勝利金を引き出している20年間のあいだにオンカジが潰れてしまったら終わり」ということに尽きる。仮に3年でオンカジが潰れてしまった場合は、およそ850万円程度の勝利金を失うことになるだろう。
税金対策的にはリスクが少ないが、オンカジの都合次第で勝利金の大半を失う可能性があるという点ではリスキーなのが、この「生前贈与式分割出金」の方法といえそうだ。
1000万の勝利金を一括で引き出す場合に想定される税金のシミュレーション
分割して時間をかけて出金するのがもどかしく、どうしても一括で1000万を引き出したいと考えているのであれば「一時所得に課税される所得税の計算方式」を学んでおく必要があるだろう。
一時所得に対して課せられる税金を算出するためには、「総所得金額に応じた税率の計算」が必要となる。
「オンカジの1000万の勝利金を一括で引き出したら、このぐらいの税金がかかりますよ」ということに関しては、「それぞれの所得の違い」によって個人差が発生するため、支払うべき税金の「固定された金額」を提示することができない。
要するに「こっちはあなたの総所得を知らないのだから、税金がいくらになるかなんて知らないですよ。自分で計算してください」ということである。というわけで、それぞれが一個人として「計算式」を知る必要が出てくるわけである。
一時所得に関する税金算出でするべき計算は、おおまかに「一時所得の課税所得金額の計算」と「総所得金額に応じた税率からの所得税の計算」の二回にわけられる。
このうち「一時所得の課税所得金額の計算」については、オンカジでの1000万の出金がある場合、「特別控除額と経費を引いて50万円以下になるかどうか?」を計算するまでもなく、50万円を超えているから、計算をする必要はない。
「総所得金額に応じた税率からの所得税の計算」についても、1000万の出金をする以上は、総所得が必ず「900万円」を越えることになるので、「所得税の計算式」と「総所得900万円以上」の場合の「三つの税率と控除額」を覚えておけば十分だ。
まず、所得税の計算は「総所得×税率-控除額=所得税」である。
続いて、総所得が900万円を超えている場合の「税率」と「控除額」を見ていくことにしよう。
総所得 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
900万円超~1800万円以下 | 33% | 1536000円 |
1800万円超~4000万円以下 | 40% | 2796000円 |
4000万円超 | 45% | 4796000円 |
今回は、俺が「年収500万」で、オンカジでの勝利金を1000万を一括で引き出した、という設定で、どのくらい税金を支払わなければならないかを見ていきたい。総所得1500万円の場合の、税金の計算式と、支払うべき税金額は以下となる。
15000000×0.33-1536000=3414000
総所得の1500万円から、税金として341万4千円を支払わなければならない、という計算だ。これを見れば、1000万をそのまま一括で出金したらバカらしくなるほど高額の税金が差し引かれることが、ひとまずわかっていただけるだろう。
1000万円を一括で引き出さない場合。たとえば、500万円ずつとか、300万円ずつというように分割して出金をする場合は、900万円以下の総所得になることもあるだろう。
そのため、一応、900万円以下の総所得の税率と控除額を知っておく必要もあるだろう。900万円以下のそれぞれの数値は以下のようになる。
総所得 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427500円 |
695万円超~900万円以下 | 23%% | 636000円 |
「所得」と「オンカジの1000万からどのくらい引き出すか」にそれぞれ個人差があり、具体例を出していくと組み合わせにキリがないため、サンプルとしての計算は省かせていただくが、あとは、さきほどの「一括の場合」の応用である。
オンカジの1000万円をどの程度引き出したかに応じて「総所得×税率-控除額=所得税」の計算を各々導き出せば、ひかれる税金を把握することができる。
1000万という高額出金は国税当局にマークされる可能性がある
仮に1000万の勝利金を獲得し、それらを一括で出金すると考えているのであれば、「高額出金は国税当局の調査の対象になる可能性がある」ということもおさえておかなければならないだろう。
これは主に、競馬や競輪などの「公営ギャンブル」で高額配当を当てた人間に対する国税当局の対策として2021年以降から採用されているシステムで、「1000万円以上の高額配当の出金」があった場合、JRAなどがその対象者の情報を税務署に渡さなければならない、という脱税防止のための徴税強化システムだ。
この徴税強化システムは、「競馬などの胴元側」が、高額配当者の氏名や銀行口座番号、レースの情報などの個人情報を報告するというものだから、オンカジとは関係ないと思われるかもしれない。
重要なのは「1000万というラインは、国税当局にとって警戒しなければならないラインだ」ということだろう。
公営ギャンブルでもない一時所得が1000万円を超えており、それが確定申告されている場合、その一時所得のデドコロが国税当局の調査の対象になることは、大いに考えられるというか、当然のように俺には思われる。
もっといえば、1000万に到達せず、数百万の出金であれど、それは「疑わしい一時所得」であるため、国税当局の目から逃れることはむずかしいだろう。
これは要するに、オンカジで高額出金をすると「オンカジという違法のギャンブルで遊んでえた金である」ということが、国にバレるリスクが高まるということと理解しなければならない。
「しっかり計算もして勝利金の税金もしっかり支払ったからOK!」と油断しているところに、税務署に個人情報を握られて違法行為がバレ、賭博法にてらしての検挙というオチもありうるため、注意されたい。
1000万円の勝利金にかかる税金シミュレーションのまとめ
- 20年かけて税金を支払わずに引き出す方法がある
- 一括で引き出す場合は総所得と税率の計算式が必須
- 高額出金によって国税当局にマークされる可能性がある
オンカジで1000万の勝利金があった場合の税金対策をシミュレーションしてみた結果をまとめてみると、このようになるだろう。
オンカジに関しては、負けた場合は当然シンプルに損失であるのだが、勝った場合でも、このように税金という観点から面倒な問題が発生し、損失ともいえる高額納税もしなければならなくなる。
また、公営ギャンブルの場合の高額納税と違って、違法ギャンブルでの高額納税は、自身の違法行為を申告することにも等しく、その観点から見ても、オンカジでの1000万円はリスクの塊といえるだろう。
むろん、オンカジで1000万円勝つことなんて滅多にない。というより、間違いなくないとさえいえるのがオンカジなのだから、こんなことを考えるのはそもそも杞憂でしかないというのが事実ではある。