海外リアルカジノでの納税方法はオンカジでも可能か考えてみた

オンカジと海外のリアルなカジノってのは、似ているようで全然違う。

どちらも海外が拠点ではあるのだが、オンカジが日本国内から海外運営のサイトにアクセスするのに対して、本場の海外カジノは海外の施設に自ら足を運んで現地で勝負するというものだ。

当たり前の話をしているように聞こえるかもしれないが、ここには決定的な差があると俺は考えている。

俺がとつぜんオンカジと海外カジノの比較を持ち出した理由は、もちろん「税金」にまつわるある考えがあってのことだ。

海外のカジノで収益が出た場合、日本での税金の納付ではなく、そのカジノがある国への納付がある、という事情がある。

これによってすべてが不要になるわけではないが、日本への納付が一部不要になる、という海外カジノでの収益と税金の事情は、果たしてオンカジでも適応できたのか?というのが俺の関心である。

過去にオンカジの税金が請求されたときにこそ、「日本に住んでオンカジ使ってるのに外国に納税なんてできるか!アホか?」と思ったのだが、いま考えると、海外カジノのようにオンカジの税金も払えたなら、俺はオンカジの税金トラブルを避けられたのかもしれない。

今回は、その辺りを検証するために、海外カジノで収益が出た場合の税金事情や、それがオンカジにも適応できるのか?なんてことを考えていきたい。

海外カジノの税金における課税管轄権と源泉管轄という二つの考え方

海外カジノの税金における課税管轄権と源泉管轄という二つの考え方

海外のカジノで収益を得た場合に「どこに税金を納めるか?」という問題を考えていくにあたって、鍵となるのは「課税管轄権」と「源泉管轄」という二つの考え方だ。

そして、「オンカジの税金は海外で支払えるのか?」という今回の関心を考えて行くにあたって、この「課税管轄権」と「源泉管轄」という二つの考え方は、少々理解が面倒ではあるものの、どうしても避けられないものでもあるだろう。

「課税管轄権」というのは「税金を徴収する権利」のことだ。

俺のような、日本国籍を持っていて、日本在住で、日本で生産・消費活動をしているような人間に対しては、日本国が課税管轄権を所有するということになる。

ここで「源泉管轄」というもう一つの考え方が登場することになる。

「源泉管轄」というのは、「その経済活動がどこで行われたか?」ということを重要視して、その経済活動が行われた場所に税金を納めるという考え方で、おおざっぱに理解するなら「課税管轄権」と対立する考え方であるといっていいだろう。

日本に「居住」する外国人が日本国内で所得を得た場合、その外国人に対しては、日本国が課税管轄権を持っているので、その外国人は「税金を徴収する権利」に応じて、日本国に税金を納める、ということにひとまずなる。これが「課税管轄権」の考え方。

一方、日本に一時的に「来訪」している外国人が日本国内での経済活動で所得を得た場合、「課税管轄権」の考えであればその外国人の国籍がある国に税金を納める必要があるのだが、「源泉管轄」という考え方を採用するならば、その経済活動は「日本で発生したもの」なので、日本に課税されるべきだ、ということになる。

この「課税管轄権」と「源泉管轄」という二つの考え方の対立には、ある種の「あいまいさ」があって解決がなく、国税局としても、「どちらを優先させるか?」という明確な立場を示すことができないと言われている。

日本人が海外カジノで遊んだ場合の納税の行方について

日本人が海外に渡航して現地のカジノで遊んだ場合、この「課税管轄権」と「源泉管轄」のどちらを優先させるかで、納税の行方に違いが発生することになる。

日本国籍を持つ俺が、仮に韓国のカジノで大勝ちしたとしよう。

このとき、「居住管轄権」の考え方を採用するなら、そこで得た勝利金は一時所得として日本国内で納税を行う義務が生じるだろう。

だが、「源泉管轄」の考え方でいくならば、俺は韓国に居住しているのではなく、渡航してその場で経済活動を行ったのであるから、「源泉管轄」のルールに従って韓国に納税しなければならなくなる。

しかし、こんな簡単に「居住管轄権だから」、あるいは、「源泉管轄だから」といって、納税の場所をホイホイと変えるなんてことが許されるのか?という疑問が生じるのは当然のことだろう。

この疑問について考えて行くには、日本の課税制度における「国際課税」に対するスタンスを少しばかり理解する必要があるのではないかと思う。

そして、ここがオンカジの納税を理解する上での「勘所」ともなるだろう。

日本の課税制度における国際課税に対する基本的スタンス

法律上、日本の課税制度においては、国内での経済活動であろうと、国外の経済活動であろうと、発生した場所に関係なく日本に納税しなければならないというスタンスをとっている。

要するに、日本は原則としては「居住管轄権」しか認めていないということになる。

海外のカジノだろうが、オンカジだろうが、なんだろうが、とにかく日本人なんだから、日本に税金を納めろ。それが「居住管轄権」の言い分である。

この日本のような考え方は、全世界所得課税主義と言われている考え方である。

だが、前述したように、国際的な課税の場においては「源泉管轄」による現地への納税という対立するスタンスが発生する。当然だろう、その国からすれば、その国での儲けが自身の国の税金にならないのは、許しがたいことであるはずだから。

このような「源泉管轄」と、全世界所得課税主義にのっとった「居住管轄権」が対立したままだと、それぞれの国に納税をするということになる。

ここで「国際的二重課税」という問題が発生することになる。これは、国際的にマズイでしょ、というわけで、全世界所得主義に妥協が要求される理由が発生するわけだ。

この国際的二重課税を避けるために用意されているのが、「外国税額控除方式」というものだ。

この「外国税額控除方式」というのは、「現地ですでに納税が済んでいる分は、改めて日本で納税しなくていいですよ」という方式で、どうしても対立する「居住管轄権」と「源泉管轄」の問題に、国税局が妥協した形ととることもできよう。

海外のカジノでは外国税額控除方式を採用して源泉管轄で納税できる

海外のカジノで大金を得た場合、この外国税額控除方式を採用して源泉管轄で現地での納税が可能になる。

俺が韓国のカジノで得た収益についてはすでに「源泉管轄」のほうで納税済みなので、それを正確に申告しておけば、日本国はもう俺から徴税することができない。二重課税になってしまうからだ。

だが、海外カジノ体験談などを読む限りだと、これはどうやら「スロットでの利益」だけに限られていて、バカラなどのテーブルゲームでは、外国税額控除方式が採用されないという話も聞く。

こればかりは、俺も海外のカジノで実際に遊んだことがないので、あくまで体験談の話でしかないが、どうやらそういうケチなところが、海外カジノの事情としてはどうもあるらしい。

ともかく、今回重要なのは「海外のカジノでは効果がある外国税額控除方式を採用した源泉管轄での納税は、オンカジでもできるのかどうか?」というところだろう。というわけで、いよいよ本題に入ろう。

オンカジの収益には外国税額控除方式は採用できない

結論から言うと、残念ながら、日本国内で遊んだオンカジでの収益に関しては、外国税額控除方式は採用できず、純粋に「居住地管轄権」だけが行使されることになる。

オンカジにおける税金問題を考えていくにあたって「居住地管轄権」「源泉管轄」「外国税額控除方式」などのすべてを、オンカジの場合にあてはめていくと、「日本国への納税」以外の選択肢がないことは明らかである。

まず、「居住地管轄権」から。これは言うまでもなく、日本国籍を持っており日本に居住している以上、オンカジの収益からくる税金は、すべて日本国に納めなければならない。

続いて「源泉管轄」である。オンカジというのは、日本国内から海外のサイトにアクセスしているから、一見すると「海外が経済活動の発生地点」と考えられがちだが、これはまったくもって違う。

オンカジにおける「経済活動の発生地点」は、スマホの位置ということになるだろう。要するに、日本国内からアクセスしている以上、スマホの位置もまた日本国内にあるのだから、運営拠点が海外にあろうと、オンカジにおける経済活動の発生地点は「日本国」ということになる。

もし、「源泉管轄」の考え方で海外に納税をしたいならば、オンカジを運営している運営拠点の国に渡航し、その運営拠点の国のなかでオンカジを遊んで、その国に滞在しているあいだに「源泉管轄」で税金を納めてから帰国するという、やる必要のまったくない煩雑な遠回りをする必要があるだろう。

オンカジに「外国税額控除方式」が採用できるかどうかについては考えるまでもない。「源泉管轄」による納税ができない以上は二重課税も発生しないし、そうであるならば、外国税額控除方式も採用できない。それだけの話だ。

つまり、オンカジの税金については税務署に対して強く出ることはできず、日本国の税制と居住地管轄権に従って、正確な手続きで確定申告をする必要があるということだ。

オンカジの税金を海外に納税できるかについてのまとめ

オンカジの税金を海外に納税できるかについてのまとめ

  • 日本国籍日本在住の日本人の経済活動は日本で起こる
  • 海外のカジノでは源泉管轄で現地での納税ができる
  • オンカジの税金は日本に支払うこと以外に選択肢はない

海外カジノとオンカジの比較から見えてくる「海外カジノの納税の方法は、オンカジにも適応できるかどうか?」についてのまとめは以上になる。

残念ながら、オンカジで遊ぶ人間が日本国籍であり日本在住である限り、そこには「居住地管轄権」の行使だけがある。

オンカジの税金問題で税務署から詰められたときには、海外カジノのように「もう海外に税金納めてるんだから、二重課税になるでしょ?」というような言い分を採用して強気に出ることはできない。

オンカジで遊ぶ以上、年間50万円以上の勝利金は一時所得になってしまい、日本国内の税制によってルールが徹底された確定申告から逃れることは絶対にできない。

俺としては、日本国内でオンカジで遊ぶより、合法の海外のカジノで遊んだほうがいいのではないか、というような結論も、税制を通して改めてオンカジの問題点を眺めることで、見えてくるように思う。